昨日にこんな記事を書いた。
簡単に言えば、「ミラーマッチングを面白く感じない」という私の愚痴みたいなものだ。
ミラーマッチングは、お互いの対戦環境が大きく荒れない代わりに、「ドキドキ感」や「勝ち筋を考える余地」を狭めているのではないか?という話をして、みんながそれについてどう感じているか?を何人かでいいから聞きたい!と思って書いた。
そしたら、偶然何百リツイートもされて、1万人を超える方が記事を読んでくれた上に、プロゲーマーさんがアンサー記事を書くなどの事態になり、結果として大変色んな意見が聞けてとても勉強になった。
(ありがとう!)
今回、色んな意見を聞けたことで「なぜXマッチがクソつまらなくなったのか」について整理できたので、まとめておく。
理由:スプラトゥーンが面白すぎるのが原因
スプラトゥーンというのは、本当に独特の魅力を持っているゲームで、ジャンルとして「TPSだ」と言えば「シューティングゲーム」として楽しむこともできるが、「MOBAだ」といえば「ストラテジーゲーム」として楽しむこともできる。
サードパーソン・シューティングゲーム(英: Third-person shooter、 略称TPS)とは、シューティングゲームの一種で、操作するキャラクターを追う第三者視点でゲーム中の世界・空間を任意で移動でき、武器もしくは素手などを用いて戦うコンピュータゲームを指す[1]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0
上記のwikiのページには、しっかりサンプルとして「フォートナイト」と「スプラトゥーン」が入っている。
マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(英: Multiplayer Online Battle Arena)とは、コンピューターゲームにおけるリアルタイムストラテジー(RTS)のサブジャンル。通称MOBA。
複数のプレイヤーが2つのチームに分かれ、各プレイヤーはRTSゲームの要領でキャラクターを操作し、味方と協力しながら敵チームの本拠地を破壊して勝利を目指すスタイルのゲームのこと。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%88%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8A
上記のページには、タイトルとして「pokemon unite」や「LOL」などのゲームが列挙されている。
この「TPS=撃ち合うゲーム」と「MOBA=戦略ゲーム」は、明確にゲームジャンルが違う系統になっているが、スプラトゥーンは上記の2つの要素をしっかり含んでいる、新世代ゲームになっていると言える。(同系統だとオーバーウォッチが該当すると思う)
言い方を変えると、スプラトゥーンというゲームは2つのジャンルのゲーム性をミックスした性質があるため、「シューティングゲーム」としても「ストラテジーゲーム」としても楽しめてしまうという贅沢で稀有な存在なのだ。
で、この贅沢さ、つまり「スプラトゥーンが面白すぎるせい」で、逆に問題が起こっている。
なぜXマッチはつまらなくなったのか
今回、私が前述した「Xマッチはミラーマッチングになっててツマランちん」みたいな駄文を書いた後、数名から反響やコメントをいただく中で、上記のように
「それって戦略性を楽しんでたか、技術戦を楽しんでたかの違いでは?」「人間の特性で、どっちに興味があるか分かれるっぽいですよ」
などの知恵をいただき、自分の中では
「あぁ、自分はスプラトゥーンに勝手に戦略性を求めていて、それが3の味付けの方向性と違っていて、すねてるだけだな」
という納得になった。
簡単に「なぜXマッチがクソつまらなくなったのか」を説明してしまうと、そもそも「スプラトゥーン」というタイトルは下記の図の2つの要素を見事に高いレベルで両立させていると言える。

だが、スプラ3は現段階では
- ステージが全体的に不確定要素を減らす構造に仕上がっている(今のところ)
- 武器種が少ない(今のところ)
- スペシャルが全体的に状況を大きく動かせない仕様に仕上がっている(今のところ)
という状況になっており、下記のような移行が起こっている。

さらにそこに
- そもそもガチエリアが大会や対抗戦の主流(つまりスプラの主流)にも関わらず、ガチエリアというゲームは不確定要素が少ない性質がある(フィールドの一部分しか使わないから)
- 3からXマッチで採用されたミラーマッチングは、不確定要素をさらに減らす方向に働きかけている
という要素が重なってしまい、下記のような感じになっているという事だ。

このように、様々な要因が重なってしまった結果、言ってみれば
スプラ2とは相当に味付けが変わったように感じる
という結果をもたらしているわけだ。
スプラトゥーンはイチゴ
これは味付けの問題であって、いまだにスプラトゥーンが両方の要素をバランス良く保っている、タイトルとして「神ゲー」であることは間違いない。
だが、スプラトゥーンは何千時間とかプレイしているユーザーも多いため、突然の味の変化に戸惑いが出るのは仕方がないことだ。
10年通った料亭が、いきなり味付けを大幅に変えてきたような感覚になってしまうのだろう。
イチゴに例えてみた↓↓
プロゲーマーのあとばるさんがアンサー気味に「スプラトゥーンはラーメン」と言っていたが、
いや、たぶんスプラトゥーンはラーメンというよりは「イチゴ」だと思う。
そもそも「甘酸っぱさ」がスプラトゥーンの素晴らしいところであり、ファンの中には甘さを愛している人もいれば、酸っぱさを愛している人もいる。
でも甘いだけでも、酸っぱいだけでも足りないから、我々はブドウじゃなく、グレープフルーツでもなく、イチゴが好きで毎日食べてるわけだ。
だから私は甘い方が好みだったし、スプラ3には甘さを求めていたけど、実際にはふたを開けてみたら色んなことが重なってかなり酸っぱくなってた。
でも、それでもイチゴはイチゴなんだから、ちょっと酸っぱくなったくらいで文句は言わずに、引き続き甘酸っぱさを楽しめばいい、そういう話で終わるはずだった。
ここまでは。
なんか膨大な賛同意見が出てしまった
この段階で、自分では一定の納得に到達したので、「まぁいいや」で終わらそうと思った。
そしたら、記事は気づけば何百リツイートもされてしまい、自分が思っていた何百倍もの人たちから「おおむね賛同」という方向の意見をもらった。
自分は結構レアな存在かと思っていたが、今は
意外と甘党も多いな
という風に感じている。
だから、スプラトゥーンが酸っぱくなりすぎたことによる問題もあるかもしれないと思って、それを最後に少しだけ列挙する。
酸っぱさの弊害⑴ 実況が面白くなくなった・・・?
私はこれまでスプラトゥーンの「戦略性」を愛し、楽しんでいたところが強いため、
「おいおい敵にリッターいるのに、こっちはエクスかよ~・・・。じゃあエクスがぶち抜かれないように、早めにミサイル吐いて前線できるだけ突っ張るか。」とか
「敵にクアッドとスパッタリーいるやーん!味方は後ろ気味やなぁ~・・・これは荒らされたら終わるから、手前処理に全集中やな。トラップなるたけ置いてリッター守ってあげて、手前処理した直後に攻め時作るか・・・抑えで勝とう!」とか
そういうのを心から楽しんでいたし、バンカラマッチの解説動画を作っていた時はそういう感じでたくさんの「こういう時はこう考えて、こう立ち回ろうね!」みたいなのを収録&配信していた。
今、Xマッチでガチエリアの収録をすることは、もう無い。
収録しても、特に話すことが無いのだ。
「頑張ります!」
「敵を倒して勝ちます!」
しかいう事が無い。
Xマッチは、同じような敵より上手くプレイするのが最も重要なことだからだ。
最近、実況者の動画を見てて「面白くなくなった・・・?」なんて思った人はいないだろうか?
ただ、勝とうとしているだけ。
勝てたか、勝てなかったか、しか話していない。
それはね、編成のバランス(だけ)が無駄に整っていて、話すことが特に無いのだ。
工夫するポイントも少ないし、逆に発狂するポイントも少ない。
不確実性がどんどん減ってしまい、味方にブラスターがいれば敵にもブラスターがいる。
チャージャーがいれば、敵にもチャージャーがいるし、スピナーがいれば似たような奴が敵にもいる。
- やべー編成だったけど、勝ち筋を通した!
- ワンチャンスしかない試合で、ジャイアントキリングした!
という事が、不確実性が低すぎて起こりづらくなってきている。
もう、無双動画くらいしか上げるものが無い。
「マクロ面での工夫の余地」が極めて少ないからだ。
これは、武器種が増えたりバランス調整が行われて、多様性が増せばある程度は解決してくる可能性はある。
しかし、武器種という要因だけで
「ステージの構造」×「スペシャルの性能」×「ミラーマッチング」×「ガチエリアが主流」
という4つの「不確実性を排除する力」に勝てるとはとても思えない。
- ギリギリの展開で裏取りを決めようとする実況者をハラハラしながら見守る・・・こともない(そもそも丸見えステージばかり)
- 一発逆転のスペシャルを決めようとする実況者を手に汗握って応援する・・・こともない(そもそもそんなスペシャルが無い)
- どう考えても不利な編成で連キルで勝ち筋を通す実況者に憧れる・・・!!こともない(そもそもそんな編成にならない)
というような状況が続けば、トップ選手の配信からはどんどん不確実性が失われてしまい、「今のカニを吐くタイミングが相手より2秒早かったのって、神プレイだよね」みたいな、玄人しか楽しめないものになっていくだろう。
それでいいのだろうか?
酸っぱさの弊害⑵ 大多数の人が競技性を楽しめなくなる・・・?
もう1つは、最大で半分くらい(500万人程度)が競技性を楽しめなくなるのでは・・・?という心配だ。
これは、まず「甘党がどれくらいいるのか?」という部分でかなり変わってくる話でもある。
最悪の場合、
「撃ち合いが楽しい派」と「戦略思考が楽しい派」が半分半分
だったとすると、まぁまぁ深刻な問題になる。
というのも、そもそもスプラトゥーンには「明確に競技性が高いルール」というのが、Xマッチしか実装されていない。
今回の話は、特にXマッチのガチエリアにおいて最も強く発生している現象なわけだが、この時に
これまでXマッチのガチエリアに競技性を求めて参加していたプレイヤー達
のうち、およそ半分の「戦略思考が楽しい派」は、Xマッチに対して
- 「自分の戦略思考が求められていないように感じる」
- 「自分の強みや良さを発揮できるシーンが無いと感じる」
などの、まるで「場違いな会社に入社してしまって、自分の強みや得意と求められている人材像や評価基準がズレているような居心地の悪さ」を感じることになる。
まさに私がそのように感じていて、先日に下記の記事を書いたわけだ。
だが、幸いにも私は「チームメイトを探せる」ようなコミュニティを持っているため、最近はもっぱらチーム戦を楽しむ方向にシフトできた。
対抗戦などのフルパーティ戦では、チームごとに多様な戦術が採用されるケースが多いため、私のようなMOBA思考でも十分に活躍の余地を残されているため、大変楽しいスプラライフを送っている。
リーグマッチが実装されるのも、とても楽しみだ。
しかし・・・
そういう風にチームを組んだり、頻繁にリグマに行けるユーザーは、全体の何%くらいだろう?
実際はほとんどの人が、ソロマッチを中心にしているのではないだろうか?
そうだとしたら、彼らは「自分の情熱を、どこにぶつければいいのか分からない」という風になってしまわないだろうか?
それはあたかも、突然社長が代替わりしたことで会社の方針が変わり、これまでの頑張り方や自分の磨いてきたスキルが一夜にして評価されなくなってしまい、息苦しさを感じて転職してしまう中堅社員のようではないか。
(きっとその人たちは、夜な夜な新橋の飲み屋にでも集まって「もうオーバーウォッチに転職しようかと思ってるんだよね」とか話すことになるだろう。)
我々のような甘党、もとい「戦略思考を愛し、それを活かして勝利に貢献したいと考えているプレイヤーたち」が、ソロで本気でやりがいを感じて取り組める場所は、用意されるのだろうか?
このあたりは、「ミラーマッチング」というマッチングシステムの話というよりも、
スプラトゥーンはどれくらいの思考領域(ストラテジーが貢献する要素)が理想なのか
という話になってくる。
少なくとも、今回のバズを通じて「かなりの数のプレイヤーが、今の環境に関しては思考領域が低すぎると感じている」ことは分かったはずだ。
ステージ構造で、不確実性を増やす?(見えない場所や危険性を増やす感じか?)
それとも、状況を一気に覆せるスペシャルを導入する?(ボムピやバブル、ダイオウイカのような?)
どうも私は、武器種を増やすだけでは解決しないと感じるのだが、皆さんはどう思うだろう?
是非聞かせて欲しい。
そして、この話が任天堂の開発メンバーにも届くことを期待する。